館クリーンセンターでCO2分離・回収の実証試験へ!八王子市が9/16に協定を発表

館クリーンセンターの外観。ガラス張りの環境事務所棟と工場棟、手前に来場者用の駐車場と車寄せの屋根が見える ニュース

2026年9月16日(水)、八王子市は館町2700番地の「館クリーンセンター」で、ごみの焼却排ガスからCO2を分離・回収・液化する実証試験を実施すると発表しました。

施設の整備・運営に携わる株式会社神鋼環境ソリューションと、8月13日(木)に実証試験の協定を締結したとのことです。

9月16日付ニュースリリースで示された4つの実施項目

今回の実証試験は、八王子市が2026年9月16日付けで発表したニュースリリース「CO2の「排出源」から「供給拠点」に転換する清掃工場を目指して~CO2分離・回収・液化に関する実証試験を実施~」(環境部資源循環施設管理課)で明らかになりました。

リリースには、2050年ゼロカーボンシティの実現に向けた取組の一環として、館クリーンセンターで焼却排ガスからCO2を分離・回収・液化し、その利活用を検証すると記載されています。

資料に記載された実施概要と実施項目は、次の通りです。

  • 実施場所: 館クリーンセンター(東京都八王子市館町2700番地)
  • 実証試験の期間: 2027年度(令和9年度)から2029年度(令和11年度)まで
  • 実現可能性調査の期間: 2026年10月から2028年3月まで(予定)
  • 連携事業者: 株式会社神鋼環境ソリューション(兵庫県神戸市、代表取締役社長 奥村英樹)
  • 実施項目1: 焼却排ガス中のCO2を分離・回収・液化し、性能評価を行う
  • 実施項目2: 近隣事業者のCO2利用設備への当該CO2の互換性を確認する
  • 実施項目3: サプライチェーン構築に係る実現可能性調査を行う
  • 実施項目4: 実証試験の結果をもとに、2029年度(令和11年度)中にCO2回収設備の本格導入に向けた検証を行う

市はこの取組により、市内の脱炭素化の推進や新たな産業連携の創出につなげていくとしています。

八王子市ニュースリリース1ページ目。見出しはCO2の「排出源」から「供給拠点」に転換する清掃工場を目指して、館クリーンセンター全景写真と実証試験の実施概要・実施項目が記載されている

八王子市が9月16日に発表したニュースリリース(出典:八王子市ニュースリリース)

リリースには、施設の全景写真も掲載されています。

館クリーンセンターの全景。高い煙突と工場棟、屋上に芝生の広場、手前に搬入路と車両の入口が見える

館クリーンセンターの全景(出典:八王子市ニュースリリース)

8月13日締結の協定、設備の設計・製作は2026年度から着手

神鋼環境ソリューションも同じ2026年9月16日に、「ごみ焼却施設の脱炭素化に向けて CO2分離回収技術の実証試験に関する協定を締結」と題した発表を行っています。

同社の発表によると、協定の実施場所は館クリーンセンター敷地内で、実施概要は焼却排ガス中のCO2を分離・回収・液化し、性能評価を行うことです。

工程については、2026年度から設備設計および製作に着手し、2027年度に設備建設・試運転を経たのち、2028年度から実証試験を開始する予定と記載されています。

市のリリースが実証試験の期間を2027年度から2029年度までとしているのに対し、同社の発表では建設・試運転を終えた2028年度に試験が始まる見込みで、協定期間の中で設備の準備と試験が進められるようです。

同社は、国内のごみ焼却施設は地域社会を支える重要なインフラである一方でCO2排出源の1つでもあり、2050年カーボンニュートラルの実現に向けてはCCU技術の導入が重要な選択肢として期待されていると説明しています。CCUは二酸化炭素の回収・有効利用を指し、回収したCO2を使うところまでを含む考え方です。

東京都の実現可能性調査に採択、建設資材化と直接利用の2ルートを検証

今回の実証試験が動き出す背景には、東京都の調査事業への採択があります。神鋼環境ソリューションとスマートシティ企画株式会社(代表取締役 石垣祥次郎)は2026年9月16日、両社が提案した実現可能性調査が東京都産業労働局の令和8年度「CO2サプライチェーン構築に係る実現可能性調査事業」に採択されたと発表資料で公表しました。

資料によると、この調査では館クリーンセンターから回収したCO2の有効利用先として、建設資材化と直接利用の両ルートでの活用可能性を検証するとのことです。

1つ目は高速炭酸化技術「Carbonel(カーボネル)」でカルシウム含有副産物と反応させ、建設資材・土木資材へ固定化するルートです。

2つ目は回収したCO2を液化・精製し、ガス商社を通じて需要家が直接利用するルートで、原料の調達可能性から輸送、需要先の確保、投資採算性まで、サプライチェーン全体を通じた事業性を多面的に調査するとされています。

実施体制は神鋼環境ソリューションが代表実施者、スマートシティ企画が共同実施者で、同社はLCA・経済性評価の観点から調査を支援すると記載されています。調査の実施期間は2026年10月から2028年3月までを予定しているとのことです。

CO2サプライチェーンの検証ルート図。Aは炭酸化による資源利用でCa含有原料を炭酸化し土木・建築資材へ、Bは直接利用で八王子市・館クリーンセンターのCO2含有排ガスを分離回収・液化しガス商社経由でCO2需要家へ供給する流れ

実現可能性調査で検証する2つの利活用ルート(出典:株式会社神鋼環境ソリューション・スマートシティ企画株式会社 発表資料)

160トン/日の清掃工場から、最大10トン/日のCO2利活用を目指す

館クリーンセンターは八王子市の西南部にある可燃ごみの焼却施設で、2022年(令和4年)10月1日に運用を開始しました。

市の施設案内によると、処理能力は160トン/日(80トン/日×2炉)、処理方法は流動床式焼却方式、敷地面積は72,299.02平方メートルで、余熱利用として最大出力4,440kWの蒸気タービン発電機を備えています。

市は官民連携の行政課題テーマ「テーマNo.13 ごみ焼却施設から回収するCO2の利活用について」で、館クリーンセンターから回収したCO2について最大10トン-CO2/日の利活用という目標値を掲げています。

同じページでは、回収したCO2の有効利用用途の確保が重要な課題であるとし、ビニールハウスでの農作物発育促進のためのCO2添加、コンクリートブロックへのCO2封入、化学製品の製造といった想定例が挙げられています。市が提供できるものはボンベ等による輸送を想定したCO2の供給で、実施予定時期は2027年度(令和9年度)以降とされています。

施設では既にごみ発電による削減も進み、市の施設案内では自己託送と売電によるCO2削減量が2024年度(令和6年度)に7,503トン-CO2だったと公表されています。

担当課長は「地産地消モデル構築に向けた重要な一歩」とコメント

ニュースリリースには、環境部資源循環施設管理課長のコメントが掲載されています。

館クリーンセンターは、市内施設の中でも多くのCO2を排出する施設です。本実証試験は、清掃工場から排出されるCO2を地域資源として活用する市内初の取組となります。これまで「排出源」であった清掃工場が「供給拠点」へと転換する可能性を持つ取組で、本市におけるCO2の地産地消モデル構築に向けた重要な一歩になると考えています。

― 八王子市ニュースリリース「CO2の「排出源」から「供給拠点」に転換する清掃工場を目指して~CO2分離・回収・液化に関する実証試験を実施~」(2026年9月16日)担当課長コメントより

市は2022年2月にゼロカーボンシティ宣言を行い、2050年までに二酸化炭素排出を実質ゼロにすることを目指しています。

清掃工場から出るCO2が市内や近隣の事業者に渡る仕組みができれば、八王子市内で回収して市内で使う形が見えてきます。

場所は館町2700番地、高尾駅南口からバスでアクセス

館クリーンセンターは八王子市館町2700番地にあり、町田街道の「館クリーンセンター入口」交差点から施設へ入る道が通じています。

公共交通機関では、高尾駅南口から「館ヶ丘団地」行きのバスに乗り、「館ヶ丘団地」バス停で下車して徒歩約10分と案内されています。

施設は個人であれば予約なしで見学でき、3月1日から9月末までは9:00~17:00、10月1日から2月末までは9:00~16:00が見学可能時間とされています(12月29日~1月3日は除く)。

構内には「自然観察の森」と呼ばれる里山があり、散策路が一般に開放されているほか、屋上広場も整備されています。

まとめ

今回、八王子市館町2700番地の館クリーンセンターでCO2分離・回収・液化の実証試験が2026年9月16日(水)に発表されたことを紹介しました。

市は株式会社神鋼環境ソリューションと8月13日(木)に協定を締結し、2027年度から2029年度までの期間で性能評価などを進めます。

同社とスマートシティ企画株式会社の実現可能性調査は東京都産業労働局の事業に採択され、建設資材化と液化CO2の直接利用という2つのルートが検証されます。

見学は予約なしでできるので、市内のごみ処理と脱炭素の現場を見に足を運んでみてください。

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