八王子市は2025年9月30日、市職員による通勤手当の不適切な受給に関する実態調査の結果を公表しました。
調査の結果、97人の職員が不正受給対象となり、一度支給された手当の返納が行われました。
市は市民の信頼を大きく損なったとして謝罪し、今後の厳正な対応と再発防止策について明らかにしました。
八王子市職員の通勤手当不適切受給の概要
八王子市は2025年9月30日、市職員による通勤手当の不適切な受給が確認されたことを受け、市民に対し謝罪しました。
この問題は、職員が届け出た通勤経路や手段と、実際の通勤実態が異なっていたものです。
市は、この事態が市民の信頼を著しく損なうものであると認識しており、実態調査の状況と今後の対応について報告を行いました。
調査の結果、97人の職員が不適切な受給をしていたことが判明し、市はこれらの職員に対して支給済みの手当を一度全額返納させた上で、適正な額を再支給する措置を取りました。
市は今後、不正に受給された金額を最終的に確定させ、対象職員に対して懲戒処分を厳正に実施し、公表する方針です。
市の発表内容の詳細は、公式ウェブサイトで公開されています。(プレスリリース資料)
他自治体の事案を受け調査を開始
今回の実態調査は、2024年9月に報道された豊島区での同様の不正受給事案が契機となりました。
八王子市は、これまでも毎年、各所属長による実態確認を行っていましたが、報道を受けてより厳密な点検が必要と判断しました。
2024年10月3日、市は公共交通機関を利用する職員1,111人を対象とした実態調査を開始しました。
同年10月下旬から11月下旬にかけて、届出内容と実態に相違が見られた職員へのヒアリングを実施し、12月下旬には不適切受給分の返納と適正額の再支給を行いました。
その後も公平性を確保するため調査は継続され、2025年3月には全庁へ改めて適正な届出を促す通知を発出。
同年8月上旬までに新たな対象者が確認されなかったことから、対象者を97人と確定し、調査を終了しました。
調査対象は公共交通機関利用の職員1,111人
市が実施した実態調査は、2024年10月時点で通勤手当を受給している公共交通機関利用者1,111人全員を対象に行われました。
まず、各所属長が職員の届出内容と通勤実態に相違がないかを点検しました。
この一次調査の結果、166人の職員について届出内容と実態に相違が見られました。
これを受け、市は2024年10月中旬から11月下旬にかけて、この166人に対して個別のヒアリングを実施しました。
ヒアリングを通じて、実態に即した正しい通勤経路での届出を指導した結果、最終的に97人が返納対象者として確定しました。
市はその後も、公平性の観点から調査を継続していましたが、2025年8月末時点で新たな対象者は確認されず、この97人で調査を完了しました。
返納総額は約1,671万円、今後懲戒処分を検討
2024年12月時点で、対象となった97人の職員から返納された通勤手当の総額は16,710,658円にのぼります。
この金額は、不適切に受給していた分だけでなく、正しく公共交通機関を利用していた区間分も含め、一度支給された通勤手当を全額返納させたものです。
市は今後、この返納額の中から、各職員が実際に不適正に受給していた金額を精査し、確定させる作業を進めます。
不正受給額が確定した後、市は対象となった職員に対して、地方公務員法に基づき厳正な懲戒処分を実施する方針です。
処分の内容については、決定次第、公表される予定です。
現物確認の義務化など3つの再発防止策を提示
八王子市は、今回の事態を重く受け止め、信頼回復に向けた具体的な再発防止策を3つの柱で示しました。
第一に「実態確認の徹底」です。
今後は、年度初めに所属長と職員が行う面談の際に、定期券やICカードの利用履歴といった現物の確認を全庁統一で義務付ける仕組みを構築するとのことです。
第二に「ルールの厳格化」です。
通勤手当だけでなく、扶養手当、住居手当、旅費についても、支給に関するルールを職員に分かりやすく明確化し、適正な申請と支給が行われる仕組みを整えます。
第三に「職員の意識改革」です。
全職員を対象とした公務員倫理研修を継続的に実施し、具体的な不正事例や処分内容を取り上げることで、職員一人ひとりがコンプライアンス意識を高め、市民の模範として行動するよう徹底を図ります。
まとめ
八王子市は2025年9月30日、市職員97人が通勤手当を不適切に受給していたと発表しました。
対象者からの返納総額は1,671万円を超え、市は今後、不正受給額を確定させた上で懲戒処分を行う方針です。
再発防止策として、定期券の現物確認の義務化や全職員への倫理研修の徹底を掲げています。
市は市民の信頼回復に努めるとしており、今後の厳正な対応が注視されます。
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